素晴らしい世界

世の中で良いと思ったことを

死にがいを求めて生きているの

すごいタイトル。文庫化ということで「螺旋プロジェクト」を初めて知りました。すごいですこれ。壮大すぎて。しかも半数以上は初めて触れる作家さんなので。楽しみすぎです。

一作目ということで本作を読みましたが!朝井リョウ先生が群像劇を書いたら!それは凄いものになりますよね、という納得の読み応えでした。何というか、抱えているモヤモヤをこうも明確に言語化されてぶん殴られるような。「何者」を読んだときもそうでしたが。もっと若い時に出会っていたかったような、大学生くらいで読んでしまったら共感以上にダメージがすごいような。

海族・山族の二人を囲む人々の視線で物語は進んでいきますが、ところどころ交差する登場人物の人生が。どうやったらこんな複雑に、自然に、リアルに架空の人間関係を描けるのでしょう。観察力が優れていると想像しますが、それ以外の要素も多々あるのだろうと。

作中、大切に思う相手に渡したココアを、その人が飲んでくれようとするシーンがあるのですが。お互いの大切だと思い合うこと、それで結構多くのことが上手くいきそうになること、そんなことをココアっていうアイテムで表現するという。これはもうやばいです。素敵すぎます。

これから読む螺旋プロジェクトの作品に期待を込めて。